米子市尾高の松田内科クリニック 内科・神経内科・小児科

診療のご案内

◎慢性硬膜下血腫

概略

慢性硬膜下血腫とは、頭部外傷後慢性期(通常1~2ヶ月後)に頭部の頭蓋骨の下にある硬膜と、その下の脳との隙間に血(血腫)が貯まる病気で、 血腫が脳を圧迫して様々な症状がみられます。通常、高齢で男性に多く見られます。
一般的には軽微な頭部外傷の後に、頭痛、片麻痺、精神症状などで発症します。(頭部外傷があったかどうかわからない場合も10~30%ほどあります。)
一般に外傷後3週間~数カ月以内に発症します。50歳以上の高齢者の男性に多くみられますが、 その他に影響する因子として1)大酒家、2) 脳に萎縮がある(頭蓋骨と脳の間に隙間が多い)、3)出血傾向がある場合や脳梗塞の予防の薬を飲んでいる場合などがあります。

慢性硬膜下血腫
原因

一般には軽い頭の怪我で脳と硬膜を繋ぐ静脈が傷つくことなどにより、硬膜下に髄液などと混ざった液体が徐々に血腫として成長するとされています。 好発部位は前頭,側頭,頭頂部で、右か左の一側性のことが多いのですが、時には両側性のこともあります。

症状の特徴

典型例では簡単な頭部外傷後.数週間の無症状期を経て頭痛、嘔吐などの頭蓋内庄亢進症状,片側の麻痺(片麻痺)やしびれ、 痙攣、言葉がうまく話せない、呆けや意欲の低下などの精神障害とさまざまな神経症状が見られます。 これらの症状は年代によってかなり差がみられ,若年者では主に 頭痛,嘔吐を中心とした頭蓋内庄亢進症状,加えて片麻痺,失語症を中心とした神経症状がみられます。
一方,高齢者では潜在する脳萎縮により頭蓋内圧亢進症状は少なく,痴呆などの精神症状,失禁,片麻痺(歩行障害)などが主な症状です。 呆けだけで発症する慢性硬膜下血腫もあり、比較的急に呆け症状が見られた場合には慢性硬膜下血腫を疑うことも重要です(この呆け症状は治療可能な痴呆症です)。
また、時として急激な意識障害,片麻痺で発症し,さらには生命に危険を及ぼす場合もあり、このときは脳出血・脳梗塞と似たような症状を示します。


院長から一言

一般開業の神経内科のためか当院へは、ほとんど外傷の記憶もなく、 徒歩や自家用車でいらっしゃる患者さんが多いです。診断次第、脳神経外科に行っていただいて いますが、当の患者さんだけでなく診断した私も驚くことが多い病気です。

診断と治療

麻痺や痺れが出現したとき、休めば治るは禁物です。
症状からこの病気が疑われた場合、診断を確実にするにはCTスキャンが有効かつ必須です。 血腫の大きさが小さい場合で自然に治癒する場合もありますが、極めてまれな例です。
基本的な治療法としては外科的治療が推奨されています。 この病気のほとんどは、正しく診断がなされタイミング良く治療が行われれば完治する予後のよい病気です。この病気を見過ごさないためには、この病気の存在を疑ってみる事が大事です。